新任の先生の挨拶

機械理工学専攻
電子機械工学分野
メカトロニクス制御講座
知能電子機械グループ
藤本 健治 助教授

 本年4月1日付で、電子機械工学分野・メカトロニクス制御講座に着任いたしました。私は平成9年に京都大学大学院博士後期課程を中退後、そのまま京都大学の助手として採用になり、そこで7年間勤めさせていただいて、こちらへ採用していただくことになりました。卒業研究で研究というものを始めた場所以外のはじめての職場であり、そもそも関西を離れるのもはじめてですので、着任前はかなりとまどうことが多いのではないかと心配していました。しかしそれもまったくの杞憂で、実際着任してみると研究グループの教授である早川先生をはじめ、先生方は皆さんリベラルな雰囲気で大変過ごしやすく、私が手順が分からずご迷惑をかけても暖かく見守ってくれる方ばかりでした。また学生の皆さんも素直でかつ元気があって好印象を持ちました。
 京都大学で卒業研究として非線形制御の研究を始めたのはもうすでに10年以上前のことになりますが、当初は研究者になる気など毛頭なく、修士課程に進学後は民間企業に就職するつもりでいました。そのとき行った研究は、当時海外の研究者によって提案されていたある理論的な結果を実験機に適用するというものでした。適用の際に多少の工夫は必要ではあったのですが、適用することによってかなり良好な実験結果が得られました。そのときは「理論ってのは、ほんとに役に立つんだ」とある種の感動を覚えた記憶があります。さらに修士課程に入ってからは、卒業研究と同じ分野の著名な英語の教科書を、当初は無理やり、読まされました。しかしこれが想像以上に面白く、また卒業研究の理論的な「からくり」が、以前より深く理解できるようになり、それが研究に「はまる」きっかけになりました。テーマの当たり外れや向き不向きはあると思うのですが、私の興味の向く方向に辛抱強く研究指導をしてくれた恩師には今も感謝しています。私自身も自分のやりたい研究を学生に押し付けるのではなく、学生が自主性を発揮できるような研究指導を行っていきたいと常々考えています。
 さて私の専門分野は非線形制御ですが、「非」線形制御というくらいですので、線形制御では扱えない対象の制御が研究テーマとなります。現実世界には非線形性はいたるところに存在するので、非常に発展が期待されている分野ともいえるのですが、反対に非線形性を扱うのは非常に難しいため、大きな成果の出にくい分野であるともいえます。研究に用いる道具は、微分方程式論や力学系の理論、あるいは制御系設計のためには偏微分方程式を解かないといけないため、偏微分方程式論なども顔を出します。したがって、数学や物理の基礎教科で習ったことが、比較的そのまま役に立ちやすい分野なのではないかと思います。現在、気に入ってすすめている研究テーマは、電気機械系の特性を利用した非線形制御、です。これは電気系・機械系のエネルギー保存則などの物理的な性質を利用した制御手法で、機械理工学専攻の目指していることにもちょうど合っているのではないかと考えています。
 まだまだ不慣れなことも多く、ご迷惑をおかけすることも多々あると思いますが、OBでないことのメリットを活かして、常に新鮮な視点で当専攻の発展ためにがんばっていきたいと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。

URL: http://www.haya.nuem.nagoya-u.ac.jp/~fujimoto/index.ja.html

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