停年・退職の先生のお言葉

機械理工学専攻
電子機械工学分野
メカトロニクス設計講座
知識設計グループ
神谷 恵輔 講師
(昭和63年電子機械卒)

安田仁彦先生の思い出

 私は、学部4年生の時に安田研(当時の応用設計講座)に配属され、以来、安田先生がご退官になるまで一緒にいさせていただきました。
 私が安田先生の講義を初めて受けたのは、学部学生の時の機構学だったと記憶しています。授業中に講義室の中を歩き回り、寝ている学生を起こしたり、友達と話をしている学生に質問したりする「安田流」は、当時学生だった私には、正直、少し敬遠したくなるところもありました。現在、私は教壇に立って学生に講義をする立場にありますが、この立場から見ると、安田先生の講義スタイルは、多くの学生に理解して欲しいという安田先生の気持ちの現れだということがよくわかります。
 大学院の学生に対するセミナーでは、テキストの表面的な訳をする学生に対して、著者が言わんとすることを誘導させる質問をよくされておられました。質問された学生は答えに困ることがよくありましたが、安田先生と学生とのやりとりを聞いている者にとっては、この「安田流」の質問のおかげで内容の理解を深めることができました。特に私にとっては本の読み方の勉強になる貴重な助言でした。また研究においても、安田流に多くのことを学ばせていただきました。特に、広い視野で多面的なものの見方にはただただ感心させられるばかりで、学生の質問に対する回答や学生が提示した実験結果や計算結果に対するコメントにハッと思わされたことは数え切れません。
 安田先生の居室と講座の実験室は離れていたため、場合によっては2、3日、安田先生と顔を合わせないという事もありました。しかし、講座旅行やバーベキュー等の研究室の行事には必ず参加され、学生と一緒にテニスをしたりお酒を飲んだりされていました。ご存じのように、お人柄も温厚で、その意味では学生にとっても親しみやすい先生でした。安田先生がご退官されてからもうすぐ1年が経とうとしておりますが、新たなご就任先で教育と研究に専念されていることと思います。
 最後になりましたが、安田先生のますますのご活躍とご健康を心よりお祈り申し上げて結びとさせていただきます。

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