会員からの便り
(株)豊田中央研究所 車両・安全・ITSセンター 車両熱流体研究室 長田 裕司 昭和60年卒業(第44回) |
学生時代からの原点
学生時代、科学技術の未来を謳った筑波万博から20年たちました。その間、バブル景気と崩壊、冷戦終結、IT革命などの大変動を経て、地元開催の愛・地球博では自然・環境がメインテーマとなり、世の中の価値観も大きく変わりました。現在、私は万博会場近くの自動車関連研究所にて、熱関係の研究に従事しております。エネルギー・環境技術の上流から下流にかけて、その底流には常に熱流体要素技術があり、新たなブレークスルー技術開発とその具現化の要望に応えるべく奔走する毎日です。
在学中は、創設間もない電子機械学科の講座に在籍し、希薄気体流れの可視化技術(レーザー誘起蛍光法)について研究を行いました。最初は居室に机だけの状況でしたが、先生方と一緒に実験室から装置までひとつずつ整備していきました。研究に必要なものは自分たちで創り上げる、何が起こっているのかを実際に自分の眼で観る、という経験と姿勢が現在の仕事の大きな糧になっていると感じております。
最近では、学生時代とは比べ物にならないコンピュータの高性能化やビジュアル効果もあいまって、身の回りに実験屋が少なくなってきました。 しかし、実験の中で新たな効果を発見したときや、物に仕上がったときの喜びは格別です。そこにこそ工学の醍醐味があると思います。暗室実験室の中、レーザーによって浮かび上がった複雑な衝撃波構造の蛍光に、現象解明の鍵と若きエンジニアの卵のロマンがありました。
モノづくり愛知に身を置く者として、今後とも現物主義を貫いていきたいと考えております。