特別寄稿
藤本 哲夫 昭和 29 年卒業(第 13 回) |
大学の財政難
日本の国立大学も法人化して大学の自主運営が可能になったようですが、国からの交付金が年々1%前後(名古屋大学の場合、数億円になるかと推測します)が削減されて財政的には大変なようです。「聖域なき改革」で、公務員としての大学教職員の削減が標的になったのでしょう。 現状は、国立大学の人件費の総予算に対する割合は70%強であり、私立大学では50%前後のようです。 教員数でいえば7:5ですから、国立大学では数に余裕のある教員が教育・研究に当たることが可能であり、これが日本の教育水準を保ってきたといっても過言ではないと思います。将来の教育に対する配慮は、米百俵の例えをひくまでもなく、必要ではないでしょうか。
名古屋大学では全学同窓会を中心に「教育・研究の高度化、国際化」を旗印に募金を行っていますが、募金の本当の目的がはっきりしないように感じます。従来の予算との相違、どれだけが、どうして不足するのか、というような点を明らかにして協力を求めることが必要ではないでしょうか。 また、将来にたいする財務運営計画を示し、大学自身としてはどのようにしてプライマリーバランスをとるのか、具体的な計画を示していただきたいと思います。ただ寄付をして欲しいというだけでは目標は達成できないのではないかと心配です。
カリフォルニア大学でも州政府からの予算が1/3カットされ予算難のようです。大学自身も早期退職制を実施して、高給教授約200名がそれに応じたそうです。同窓会の募金活動も盛んで、私まで電話がかかってくるありさまです。 毎月、同窓会誌Californiaが無料でおくられてきますが、その中で「We owe Cal a lot !」とやられますと「まあ仕方ないか。」となってしまいます。しかし、募金活動による恒久的財政難の克服は困難でしょうから、早急な財政の健全化が必要だとおもいます。