新任の先生の挨拶

機械理工学専攻
電子機械工学分野
メカトロニクス制御講座
電子機械制御研究グループ
宇野 洋二 教授

 平成18年7月1日付けで,豊橋技術科学大学から名古屋大学大学院の教授に着任致しました.電子機械工学分野のメカトロニクス制御講座の1員として,田地宏一助教授とともに電子機械制御グループの研究室を運営させていただいています.名古屋大学の機械系学科では世界をリードする優れた研究が行われており,また学生の勉学意欲も高いと聞いております.この素晴らしいスタップの方々とご一緒に教育・研究に携ることができますのは,たいへん嬉しく,また心強く存じます.どうぞ宜しくお願い申し上げます.

 私は些か落ち着きがないと言いますか,これまで数年ごとに勉学や研究の場所を変えてきました.名古屋大学の理学部物理学科,工学研究科情報工学専攻,さらに大阪大学大学院基礎工学研究科で学んだ後,東京大学工学部計数工学科,ATR人間情報通信研究所,豊橋技術科学大学情報工学系などでの勤務を経まして,本学にまいりました.また,高校の数学教師の経験も数年ございます.その間,オートマトンや生体の運動制御メカニズム,知能ロボットなどの研究に従事するとともに,物理学,情報理論,数理工学,システム制御論などに親しみましたが,常に「脳」を研究のターゲットとしてきました.生体,特に人間の多様で巧みな運動は,脳神経系の優れた情報処理システムによって実現されています.私は計算論的神経科学の立場から,これらの運動制御メカニズムにアプローチし,さらに,知能ロボットの学習制御やリハビリテーションシステムへの応用をめざして研究を行ってきました.名古屋大学におきましても,神経情報処理をベースにした運動制御の研究を続けてまいりますが,特に,下肢麻痺者のための装着型歩行補助ロボットの研究開発を医工連携で推進していきたいと考えています.また,「脳を活かす」新しい技術であるブレインマシン・インタフェースも重要な研究テーマであります.

 名古屋大学で研究生活を送るのは20数年ぶりですが,キャンパスが緑豊かになり,建物も随分きれいに改装されていて驚きました.ただ,高層の研究棟は私のように気の小さな人間には少々圧迫感があります.着任当初には,朝晩の涼しい時間帯に,広いキャンパスを自転車で探検?に出かけ,昔からの施設がまだ残っていて懐かしかったり,新しくモダンな建物ができていて感心したりとあれこれ楽しむことができました.  最後になりましたが,素晴らしいスタップと研究環境のもとで,名古屋大学の機械理工学分野の発展に情熱を傾けてまいりたいと思っています.東山会の皆様にも暖かく見守っていただければ,幸甚に存じます.

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