平成20年度 東山会会報

会員からの便り

東北大学
流体科学研究所

早瀬 敏幸

昭和53年卒業(第37回)

変わるものと変わらないもの

 先日、同期の酒井康彦先生から、学部卒業後30年にあたり、東山会記事の依頼をいただきました。もう30年も経ったのかとわれながら驚きました。私は、学部、修士と当時の機械制御研究室で伊藤忠哉先生にご指導いただきました。その後、伊藤先生の助手として10年間、末松良一先生や新美智秀先生と一緒に、当時の機力制御実験棟で過ごしました。その間、カリフォルニア大学バークレー校で1年半過ごす機会をいただいた後、1990年に東北大学流体科学研究所に移動し、以後18年間仙台で過ごしております。

 流体科学研究所に移った後は、林 叡先生の研究室で、油空圧等の流体制御の研究や、流れの数値解析の教育研究を行い、その後、血液の流れを扱う生体工学にも関わるようになりました。学内や学会等で、流体、制御、バイオ等の分野の皆さんと仕事をすると、同じ工学系でも文化が大きく異なること、医学部の先生方はさらに違うことに驚かされました。そのような環境の中での経験から、流体の実験と数値シミュレーションを制御工学のオブザーバーの概念で結びつけ、医療診断装置等に応用するというような研究を現在行っています。

 久しぶりにこれまでを振り返ってみると、大学や周囲の環境は自分の学生当時と大きく変わりましたが、自分の研究のやり方の根本のところはあまり変わっていないことに気がつきました。先日、コンピュータシミュレーションの講義で、コンピュータの性能は50年で3兆倍向上し、数年立つとコンピュータは使い物にならなくなるが、計算手法のルンゲクッタ法は100年たった今でも現役で活躍していることを説明しました。やはり、進歩して変わるものと根本にあって変わらないものの、両方が大切なのだろうと思っています。

 今後とも、東山会会員の皆様のご健康と益々のご活躍をお祈り申し上げます。

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