平成22年度 東山会会報

会員からの便り

新日本製鐵株式会社 名古屋製鐵所
設備部 熱延・厚板・鋼管設備課 マネージャー

清水 昭博

平成12年卒業(第59回)

機械から得られる喜び

 

 ここ数年、エコブームや健康志向の波にのって自転車が流行しているように感じます。私も在学中に買ったマウンテンバイクから始めてかれこれ10年、乗る機会はめっきり減ってきたものの、年に1回の会社の同僚と出場するいわゆる「草レース」出場を楽しみにしています。

 街中や海岸線を、風を切り流れる風景を眺めながらの走行も楽しいのですが、仲間や大勢の人と一緒にレース走行というのも大変楽しいものです。しかし通常の街中での走行と異なり、自動車や歩行者といった他の交通を気にしなくてよい反面、スピードは比較的速くなるために自分自身の体力や技術、自転車そのものの整備が重要になってきます。またレースに出るようになり「昨年よりも良いタイムを」「上の順位を」とだんだん欲が出てきます。自分の体重を減らすのが一番効果的とは判っているものの、ついつい愛車の整備に力を入れてしまうのは、機械技術者としての宿命なのでしょうか(笑)。

 自転車の整備をしていて感じるのは、機械というものは手を掛けた分だけ仕事をしっかりしてくれる事。タイヤの空気圧から始まり、グリスアップやワイヤーの張り、ボルト類の増し締めなど・・・。手を抜いた場合は、走行抵抗が増したり反応が鈍ったりと、自分の体で動かす関係上、自分の体にダイレクトに伝わってきます。壊れたものを直す「修理」ではなく、現状の機能の維持・回復、あるいは改善を目的とする「整備」の醍醐味は、以前と比べ良くなったと「喜び」を実感する時ではないでしょうか。更には、その手を加えた内容と、結果として現れた効果の因果関係をきちんと理解できる事こそが技術者としての特権であり、「喜び」を更に大きくするものだと感じています。

 私は現在、新日本製鐵株式会社の名古屋製鐵所に勤務しています。平成14年の入社以降、開発・設計と経験し今では現場の生産設備の整備業務を行っております。今までのキャリアの中で、開発には開発の、設計には設計の、そして整備には整備の面白さというものがあると感じています。鉄鋼の生産設備は、自転車のように容易に自らの手を使って整備するわけにはいきませんが、良くなったと感じ「喜び」を実感する点では共通しています。私はこれからも、この「喜び」の飽くなき追及に邁進してきたいと思います。



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