平成24年度 東山会会報

会員からの便り


名古屋大学大学院工学研究科
マイクロ・ナノシステム工学専攻
バイオロボティクス分野
生体医用マイクロ工学グループ 助教

丸山 央峰

平成 14 年卒業(第61回)


 名古屋大学で博士課程を修了し5年が過ぎました.在学時は,工学研究科福田敏男教授の元でマイクロ・ナノロボティクスに関する研究に従事しました.修了後は名古屋大学で研究員を1年間,東北大学で助教を2年間務めた後,名古屋大学に異動となりました.現在は助教として学生との研究活動や自らの研究分野の開拓に励んでおります.

 名古屋大学へ異動した年の3月11日に東日本大震災と福島の原子力発電所事故という大災害が起こりました.この後,ロボット分野に限りませんが,研究に求められる内容が,これまでの高機能・高付加価値の追求から災害救助等を含めた安全・安心社会の実現にベクトルが変化しました.ロボット関連の学会では国内外を問わず災害に対するロボット技術の貢献についてパネルディスカッションやワークショップが毎回のように開催され,研究発表についても,これまでのシーズの創出よりも,社会で求められるニーズに応える課題解決型の研究が増えてきたように思います.

 現在,私は,細胞等の微小物体の生理状態(温度,pH,粘弾性等)計測や細胞内の染色体手術を実現するためのマイクロ・ナノメートルサイズのセンサ及びアクチュエータの作製と作業システムの構築,を主な研究課題としています.ターゲットの一つは,インフルエンザウイルスに感染した細胞1個単位での生理状態計測システムの構築です.上述の災害とは違いますが,近年の新型ウイルスの爆発的拡大等に対して,ウイルスの感染・増殖機構の解明等,医療の分野においてこれまでの技術にはないアプローチで社会に貢献できるロボット技術の実現を目指しています.

 今後の工学分野の発展には,産・官・学の密接な連携が一層重要になります.東山会がその一端を担っていくことと共に,東山会会員の皆様のご健康と益々のご活躍を祈念して,会員からの便りとさせていただきます.

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