第11回 東山イブニングサロン開催報告
東山会 庶務理事 名古屋大学エコトピア科学研究所 エネルギー科学研究部門 教授 成瀬 一郎 |
第11回 東山会イブニングサロン開催報告
2012年12月11日(火)、名古屋大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー3階のベンチャーホールにおいて、第11回東山会イブニングサロンを日本機械学会東海支部との共催で開催致しました。今回は、「時代を拓く機械システム技術」と題して、2件の御講演を頂きました。
1件目は、東山会理事からの推薦により、中部電力(株)火力部建設グループ長・奥村桂三氏(昭和61年機械科卒第45回生)による「上越火力発電所の建設概要について」であり、以下にその講演内容の概略を御紹介致します。
中部電力(株)上越火力発電所(新潟県上越市)は、管内の最北端である長野方面への電力の安定供給ならびに二酸化炭素排出量の削減を目的として、中部電力(株)として初めて、日本海に立地した発電所であります。平成19年3月に建設着工、平成23年10月には1-1号機ガスタービンに点火、平成24年7月には1-1号機の営業運転を開始致しました。現在は、1-2号機の試運転および2号系列の建設工事を実施中であり、平成26年度には全プラントが運転開始予定であります。本発電所は、ガスタービン2台と蒸気タービン1台で構成される多軸式コンバインドサイクル発電方式であります。主な特徴としては、ガスタービンの燃焼温度を従来型より約40℃上昇させた1300℃級の改良型ガスタービンを採用したこと、改良型の低NOx燃焼器を導入し全運用負荷帯で予混合燃焼を可能にして低NOx化を図ったこと、排熱回収ボイラにおいて高圧を貫流型とした三重圧型排熱回収ボイラを初めて採用したこと、制御システムにおいて各ユニットの起動停止を完全自動化するとともに機器保護のためのインターロック機能の強化や監視機能強化を図り少人数での運転を可能とたこと等であります。これらの特徴により、熱効率は低位発熱量換算で58 %以上を達成しております。
もう1件は、日本機械学会東海支部からの推薦で、トヨタ自動車(株)パートナーロボット部部長・玉置章文氏から、「介護医療支援向けパートナーロボットの開発」と題した御講演を頂きました。以下にその概要を御紹介致します。
トヨタ自動車(株)は、人に優しく人と共存できるパートナーロボットを、2010年代初期の実用化をめざして開発中であります。少子・高齢化が急速にすすむ中、明るく活力ある社会の継続・クオリテフィ・オブ・ライフ(QOL)の向上を目的に、新モビリティ・介護医療分野などでパートナーロボットが活躍する機会は多いと考えられています。介護医療分野では、すでに各社から様々なロボットが提案・販売されていますが、本格的な活用展開はまだまだなのが実情で、さらに御客様の期待に応えるためには、現場でのニーズ・御客様の声に密着したロボット開発が不可欠であります。トヨタは、“すべての人に移動の自由を”を合言葉に、藤田保健衛生大学病院との医工連携を通して、4種類の介護医療分野実用ロボット(自立歩行アシスト、歩行練習アシスト、バランス練習アシストおよび移乗アシスト)の開発・実証実験を行っております。また、生活支援パートナーロボットの開発やパートナーロボットの実用化に向けた事業的観点からの環境整備も行っております。
火力発電およびパートナーロボットへの関心の高さから、多数の皆様に御参加を賜りました。ワインとサンドイッチを頂きながらのくつろいだ雰囲気の中、活発な質疑応答が行われ、また、いずれの御講演に対しても「大変わかりやすかった」、「興味深かった」との御感想が寄せられました。御講演を賜りました奥村桂三様ならびに玉置章文様、御参加頂きました在校生、卒業生の皆様、誠に有難うございました。
次回のイブニングサロンは、以下の通り企画致しております。奮って御参加の程、宜しくお願い申し上げます。
第12回東山会イブニングサロン「自動車の安全と環境の最前線」
共 催:日本機械学会東海支部
開催日:2013年11月22日(金)17:30〜19:45
会 場:名古屋大学理学南館理学セミナー室
講演1:「自動車の安全/環境行政の動向」
国土交通省自動車局技術企画室 室長 久保田 秀暢 氏
講演2:「HV/PHVの進化と最新動向」
トヨタ自動車 HVシステム制御開発部 部長 阿部 眞一 氏
(昭和54年機械学科卒第38回生)