会員からの便り
芝浦工業大学工学部 機械機能工学科 准教授 山本 創太 平成6年卒業(第53回) |
家に帰ろう
私は平成9年1月から平成21年3月まで名古屋大学工学研究科助手、助教として奉職しました後、現職である芝浦工業大学に移りました。専門は生体力学で、長く取り組んでいる研究テーマは高齢者の転倒骨折の防止です。幸運にしてビジネスパートナーに恵まれ、名古屋大学田中英一教授との研究成果は、株式会社カネカ様から「カネカヒッププロテクター」として発売されるに至りました。女性向け下着に独特の形状と材質のパッドを組み込み、骨折リスクを低減するパンツとして売り出しています。私の研究室には、下着売り場にあるような女性ヒップマネキンが鎮座し、研究紹介の目玉になっています。
東京に来てからは前記のヒッププロテクターに始まり、女性のために働く機会が不思議と多く、学内の男女共同参画推進室員、日本機械学会Ladies’ Association of JSME委員など働く女性の支援や環境の改善にも携わっています。政府の方針もあり、このところ男女共同参画関連の事業には数値目標がついて回るようになってきました。数値化されてノルマを課せられたとたん、創造性が失われて、「お仕事」に堕ちていくように感じられるところがちょっと残念です。
多くの男女共同参画に関する事業に対し、かねてより疑問を感じているのが、「働く女性の支援」=「女性に家事をする時間を工面すること」というニュアンスをそこかしこに感じることです。女性の業務負担を減らして女性に家事、子育てをさせようとはするのですが、男性の業務負担を減らして男性が家事分担をする時間を作ろうという方向にはなかなかいきません。(独)科学技術振興機構が進める男女共同参画事業である「女性研究者支援事業」では、女性研究者と、女性研究者を配偶者に持つ男性研究者の研究をサポートする人員を配置する予算措置がされてはいます。しかし、女性研究者の配偶者に家事、子育ての共同参画までを勧める話はあまり聞きません。社員に向かって「残業減らせ」と頭ごなしにいう代わりに、「家に帰って家事をしよう」と呼びかけられる経営者がいると、カッコいいと思うのですが。会員諸兄の職場ではどのような取り組みをされているでしょうか?
東山会会員の大多数は男性と存じますが、皆さま、家事はされますか?技術に明るい東山会男性会員なら、料理も洗濯も奥様を上回る才能を隠し持っているはず。家に帰って家事をしてみましょう。そして年に何度かは実家に帰って、お母様、お婆さまにも元気な顔を見せて下さい。お土産は「カネカヒッププロテクター」で。通販および一部デパートシルバー用品売り場でお買い求めいただけます。